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○横浜市脱炭素社会の形成の推進に関する条例

令和3年6月8日

条例第37号

横浜市脱炭素社会の形成の推進に関する条例をここに公布する。

横浜市脱炭素社会の形成の推進に関する条例

近年の自然災害の多発に見られるように、地球温暖化による影響は横浜市においても重大な懸念事項である。温室効果ガスの排出量が甚大である大都市としての責任を果たすため、横浜市は、事業者及び市民とともに2050年までの脱炭素社会の実現に向け全力で取り組まなければならない。

脱炭素社会の実現は、現在及び将来の市民にとって重要な要素であり、その実現のために、産学官の連携と市民の理解及び協力は必要不可欠である。脱炭素社会の形成の推進に当たっては、経済を縮小させることなく、関連する産業を新たな成長産業として発展させることを目指す。特に、横浜発の技術によって日本はもとより世界の脱炭素化に貢献するため、横浜市は、新たな技術革新のプラットフォームとして積極的に役割を果たし、ゼロカーボンシティとしての存在感を示すべきである。

ここに、誰一人取り残されることのない社会の実現のためにも、次世代に対して責任を全うするとともに、地球温暖化対策の推進並びに市内経済の循環及び持続可能な発展を図り、脱炭素社会の形成を推進するため、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、地球温暖化対策の推進に関する法律(平成10年法律第117号。以下「法」という。)の趣旨を踏まえ、横浜市(以下「市」という。)における脱炭素社会の形成の推進に関し、市、事業者及び市民の責務を明らかにするとともに、脱炭素社会の形成の推進に関する施策の基本となる事項を定め、その施策を総合的かつ計画的に推進することにより、地球温暖化対策の推進並びに市内経済の循環及び持続可能な発展を図り、もって現在及び将来の市民の健康で文化的な生活の持続的な確保に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 脱炭素社会 人の活動に伴って発生する温室効果ガス(法第2条第3項に規定する物質をいう。以下同じ。)の排出量と吸収作用の保全及び強化により吸収される温室効果ガスの吸収量との間の均衡が保たれた社会をいう。

(2) 再生可能エネルギー 横浜市生活環境の保全等に関する条例(平成14年12月横浜市条例第58号)第146条の2に規定する再生可能エネルギーをいう。

(3) 再生可能エネルギー等 再生可能エネルギー及び革新的なエネルギー高度利用技術(再生可能エネルギーの供給、エネルギー効率の飛躍的向上及びエネルギー源の多様化に資する新技術をいう。以下同じ。)により生産されたエネルギーをいう。

(4) 再生可能エネルギー等の導入等 次に掲げる事項をいう。

 再生可能エネルギー等を導入すること。

 革新的なエネルギー高度利用技術を導入すること。

 エネルギーの使用の節約及び効率化、エネルギーの電化並びに電気の需要の平準化を図ること。

(5) 脱炭素化 脱炭素社会の実現に寄与することを旨として、市域の自然的社会的条件に応じて市域における社会経済活動その他の活動に伴って発生する温室効果ガスの排出の量の削減並びに吸収作用の保全及び強化を行うことをいう。

(市の責務)

第3条 市は、脱炭素社会の形成の推進に関する総合的かつ計画的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

2 市は、前項に規定する施策の策定及び実施に当たっては、国、他の地方公共団体、大学その他の研究機関、事業者、市民並びに事業者及び市民の組織する民間の団体と緊密な連携を図るよう努めなければならない。

3 市は、市が所有する施設の建設及び維持管理、市が所有する施設で利用する電力及びエネルギーの調達その他事業の実施に当たっては、自ら率先して再生可能エネルギー等の導入等の推進に努めなければならない。

4 前項に定めるもののほか、市は、施策を実施するに当たっては、脱炭素化に配慮するものとする。

(事業者の責務)

第4条 事業者は、その事業活動を行うに当たっては、自主性及び創造性を発揮し、脱炭素社会の形成の推進に積極的に努めなければならない。

2 事業者は、市が実施する脱炭素社会の形成の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(市民の責務)

第5条 市民は、その日常生活において、再生可能エネルギー等の導入等その他の脱炭素社会の形成の推進に積極的に努めなければならない。

2 市民は、市が実施する脱炭素社会の形成の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(施策の基本方針)

第6条 市は、次に掲げる基本方針に基づき、脱炭素社会の形成の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。

(1) 脱炭素社会の形成の推進に関連する産業の育成及び集積並びに人材の育成に努め、脱炭素社会の形成の推進を通じた市内経済の循環及び持続可能な発展を図ること。

(2) 地域の特性及び技術開発の動向に応じた再生可能エネルギー等の導入等の促進を図ること。

(3) 事業者の業態に応じた再生可能エネルギー等の導入等の促進を図ること。

(4) 市民の多様な生活様式に応じた再生可能エネルギー等の導入等の促進を図ること。

(5) 防災に関する機能の向上その他の地域課題の解決に資することを目的とした再生可能エネルギー等の導入等の促進を図ること。

(基本計画)

第7条 市は、脱炭素社会の形成の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、脱炭素社会の形成の推進に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定するものとする。

2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 再生可能エネルギー等の導入等の促進に関する総合的かつ中長期的な目標及び基本的な施策

(2) 脱炭素社会の形成の推進に関連する産業の育成及び集積その他の市内経済の循環及び持続可能な発展に資する基本的な施策

(3) 前2号に掲げるもののほか、脱炭素社会の形成の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 市は、基本計画を策定するに当たっては、事業者、市民及びこれらの者の組織する民間の団体の意見を反映することができるよう必要な措置を講ずるものとする。

4 市は、基本計画を策定したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

5 前2項の規定は、基本計画の変更について準用する。

(再生可能エネルギー等の地産地消の促進)

第8条 市は、再生可能エネルギー等の地産地消(市域内で生産された再生可能エネルギー等を市域内で消費することをいう。)の促進を図るため、市域内で生産された再生可能エネルギー等を市域内で有効活用する事業活動を支援するための措置を講ずるものとする。

(再生可能エネルギー等を通じた連携の推進)

第9条 市は、再生可能エネルギー等を通じた他の地方公共団体との連携により市及び他の地方公共団体相互の振興を図るため、市域外で生産された再生可能エネルギー等の市域内への導入を拡大するための措置を講ずるものとする。

(再生可能エネルギー等の需要拡大)

第10条 市は、再生可能エネルギー等の需要を喚起するため、再生可能エネルギー等を利用する事業者及び市民を支援するための措置を講ずるものとする。

(建築物の再生可能エネルギー等の導入等の取組の促進)

第11条 市は、建築物(建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物をいう。)の新築及び改修に当たり再生可能エネルギー等の導入等、エネルギー消費性能(建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律(平成27年法律第53号)第2条第1項第2号に規定するエネルギー消費性能をいう。)の向上その他の脱炭素社会の形成の推進に資する取組を促進するため、税制上の措置その他の措置を講ずるものとする。

(令5条例30・一部改正)

(関連産業の支援)

第12条 市は、脱炭素社会の形成の推進に関連する産業の育成及び集積による市内経済の循環及び持続可能な発展を図るため、当該関連する産業の事業者が行う脱炭素社会の形成の推進に資する事業活動を支援するための措置を講ずるものとする。

(研究開発の促進等)

第13条 市は、脱炭素社会の形成の推進に資する技術の向上を図るため、事業者及び大学その他の研究機関と連携し、研究開発を促進し、及びその成果を普及するための措置を講ずるものとする。

(実施状況の公表)

第14条 市長は、毎年度、脱炭素社会の形成の推進に関する施策の実施状況について、市会に報告するとともに、インターネットの利用その他の方法により公表するものとする。

(学習の促進及び知識の普及啓発等)

第15条 市は、事業者及び市民が脱炭素社会の形成の推進に向けた再生可能エネルギー等の導入等の必要性について理解を深めるため、脱炭素社会の形成の推進に関する学習の促進及び知識の普及啓発を行うものとする。

2 市は、温室効果ガスの排出量の埋め合わせ(排出の量の削減が困難な温室効果ガスの排出量の全部又は一部に相当する量の温室効果ガスを、他の場所で森林の整備及び保全並びに再生可能エネルギー等の導入等を行うことにより削減し、又は吸収することをいう。)を促進するため、事業者及び市民への情報の提供その他の措置を講ずるものとする。

(体制の整備等)

第16条 市は、脱炭素社会の形成の推進に関する施策を実施するために必要な体制の整備及び財政上の措置を講ずるものとする。

(委任)

第17条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。

この条例は、公布の日から施行する。

(令和5年12月条例第30号)

この条例中、第11条の改正規定(「第2条第2号」を「第2条第1項第2号」に改める部分に限る。)は公布の日から、同条の改正規定(「第2条第2号」を「第2条第1項第2号」に改める部分を除く。)は令和6年4月1日から施行する。






-2024.10.01作成-2024.10.01内容現在
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横浜市脱炭素社会の形成の推進に関する条例

令和3年6月8日 条例第37号

(令和6年4月1日施行)