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○横浜市がん撲滅対策推進条例

平成26年6月13日

条例第42号

横浜市がん撲滅対策推進条例をここに公布する。

横浜市がん撲滅対策推進条例

日本人の死亡原因の第1位はがんによるもので、およそ3人に1人ががんによって亡くなっている。がんの患率は年々増加傾向にあり、横浜市民にとって今や特別な疾病とはいえないがんと向き合い、その撲滅に向けた総合的な対策を講ずることは急務である。現在、横浜市においては、がん医療に対する調査、最新医療技術の研究を進めるとともに、地域がん診療連携拠点病院の指定などの政策を推進しているところではあるが、今後、更に患者の目線に立ったきめ細やかな取組を計画的に進めていく必要がある。

そして、その取組は、がんの疾病としての特質に鑑み、予防・早期発見・発症部位や発見時期によって異なる医療提供・最新情報の提供・再発防止・緩和ケア・患者家族等関係者への支援等をそれぞれが分断されることなく、患者の就労支援を含め、患者が社会との関わりを保ちながら水準の高い医療と生活を共に享受できるものとしていかなければならない。

国及び神奈川県のがん施策に連動しつつ、横浜市の取組ががんと向き合う全ての関係者のより強力な支えとなることを目指し、ここに横浜市がん撲滅対策推進条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、がんの撲滅を目指し、がん対策基本法(平成18年法律第98号)及び神奈川県がん克服条例(平成20年神奈川県条例第25号)の趣旨を踏まえ、横浜市(以下「市」という。)のがん対策に関する施策の基本となる事項を定めることにより、がんの予防及び早期発見に資するとともに、全ての市民が適切ながんに係る医療を受けられるようにするための総合的ながん対策を推進することを目的とする。

(市の責務)

第2条 市は、国、神奈川県(以下「県」という。)、医療機関、医療関係団体及び保健医療関係者(がんの予防若しくは早期発見の推進又はがんに係る医療に携わる者をいう。以下同じ。)並びにがん患者及びその家族等で構成される団体その他の関係団体(以下「がん患者等関係団体」という。)との連携を図りつつ、がん対策に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。

2 前項の施策は、医療のほか介護、福祉、教育、雇用等幅広い観点からの検討を踏まえて策定されるものでなければならない。

3 市は、各区の地域性に応じ、前2項の規定により策定された施策について、当該各区の区民への周知を図り、その理解及び関心を深めるよう努めるものとする。

(市民の責務)

第3条 市民は、市が実施するがん対策に関する施策に協力し、喫煙、食生活、運動その他の生活習慣及び生活環境が健康に及ぼす影響等がんに関する正しい知識を持ち、がんの予防に必要な注意を払うよう努めるとともに、積極的にがん検診を受けるよう努めなければならない。

(保健医療関係者の責務)

第4条 保健医療関係者は、市が実施するがん対策に関する施策に協力し、がんの予防に寄与するよう努めるとともに、がん患者の置かれている状況を深く認識し、かつ、その意向を十分に尊重し、適切ながんに係る医療を行うよう努めなければならない。

2 保健医療関係者は、がん患者及びその家族等に対し、積極的にこれらの者が必要とするがんに関する情報を提供するよう努めるものとする。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、市が実施するがん対策に関する施策に協力するとともに、従業者ががんを予防し、又は早期に発見することができる環境の整備に努めなければならない。

2 事業者は、従業者又はその家族ががん患者となった場合であっても、当該従業者が勤務を継続しながら治療し、療養し、又は看護することができる環境の整備に努めなければならない。

(がんの予防の推進)

第6条 市は、喫煙、食生活、運動その他の生活習慣及び生活環境が健康に及ぼす影響に関する知識の普及啓発その他がんの予防の推進のために必要な施策を講ずるものとする。

2 市は、健康増進法(平成14年法律第103号)第26条に規定する施設及び旅客運送事業自動車等の管理権原者その他の関係者又は神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例(平成21年神奈川県条例第27号)第2条第4号に掲げる施設管理者と連携し、受動喫煙の防止の推進のために必要な施策を講ずるものとする。

3 市は、女性に特有のがんである子宮けいがんに関し、罹患しやすい年齢を考慮した予防手段についての正しい知識の普及啓発のため必要な施策を講ずるものとする。

(令元条例30・一部改正)

(がんの早期発見の推進)

第7条 市は、がんの早期発見に資するよう、保健医療関係者、がん患者等関係団体等と連携し、がん検診の受診率及び質の向上等を図るために、次に掲げる施策を講ずるものとする。この場合において、市は、必要に応じ市のがん対策に賛同する事業者等による提案又は創意工夫を活用するほか、当該施策の効果的な実施を図るために必要な検討を加えるものとする。

(1) がんの早期発見の重要性に関する啓発及び広報

(2) がん検診の受診が可能な医療機関等の周知

(3) がん検診の受診に係る費用の助成

(4) 年齢、性別等を考慮したがん検診の受診の勧奨

(5) がん検診の精度管理の充実

(6) 前各号に掲げるもののほか、がんの早期発見の推進に関し必要な施策

2 市は、毎年、期間を指定し、がんの早期発見の重要性に関する啓発及び広報等を重点的かつ効果的に実施するものとする。

(がんに係る医療の充実)

第8条 市は、がん患者がそのがんの状態に応じた適切ながんに係る医療を受けることができるようにするため、県、医療機関等と連携し、次に掲げる施策を講ずるものとする。

(1) がん診療連携拠点病院(がんに係る専門的な医療の提供、がん患者に対する相談支援及び情報提供等を行うことを目的として厚生労働大臣の指定を受けて設置される医療機関をいう。)及びこれに準ずる病院の整備及び機能の強化

(2) 手術療法、放射線療法及び化学療法を効果的に組み合わせた治療法の普及並びに高度で先進的な医療技術の導入の推進

(3) 地域連携クリティカルパス(第1号に掲げる病院と地域の医療機関等が作成する診療役割分担表、共同診療計画表及び患者用診療計画表から構成されるがん患者に対する診療の全体像を体系化した表をいう。)の活用等による同号に掲げる病院相互間又は同号に掲げる病院とその他の医療機関等との連携の強化

(4) 小児がんの実態把握の強化並びに診療に係る医療機関相互の連携及び協力の促進

(5) 前各号に掲げるもののほか、がんに係る医療の充実に関し必要な施策

(がん患者及びその家族等への支援)

第9条 市は、がん患者の療養生活の質の維持向上並びにがん患者及びその家族等の精神的な苦痛、社会生活上の不安等の軽減に資するため、県、医療機関等と連携し、次に掲げる施策を講ずるものとする。

(1) がん患者及びその家族等に対するセカンドオピニオン(診断又は治療に関する担当医師以外の医師の意見をいう。)を含めた相談体制の充実強化

(2) がん患者等関係団体が行うがん患者の療養生活及びその家族等に対する活動の支援

(3) 前2号に掲げるもののほか、がん患者及びその家族等への支援に関し必要な施策

(緩和ケアの充実)

第10条 市は、がん患者の身体的又は精神的な苦痛、社会生活上の不安等の軽減を目的とする医療、看護その他の行為(以下「緩和ケア」という。)の充実を図るため、県、医療機関等と連携し、次に掲げる施策を講ずるものとする。

(1) 緩和ケアを提供する医療機関の整備の促進

(2) 緩和ケアに関する専門的な知識及び技能を有する医療従事者の育成

(3) がん患者の状況に応じたがんと診断された時からの緩和ケアの推進

(4) 緩和ケアに係る地域における連携協力体制の整備

(5) 居宅において緩和ケアを受けることができる体制の整備

(6) 前各号に掲げるもののほか、緩和ケアの充実に関し必要な施策

(在宅医療の充実)

第11条 市は、がん患者がその居宅において療養できる体制の整備のため、次に掲げる施策を講ずるものとする。

(1) がんに係る在宅医療に従事する医師、看護師その他の医療従事者及び介護従事者の育成及び確保

(2) 医療機関、介護サービス事業者その他がんに係る在宅医療に関わる団体等の連携の強化

(3) 在宅医療を希望するがん患者及びその家族等に対する情報提供、相談支援等の充実

(4) 前3号に掲げるもののほか、がんに係る在宅医療の充実に関し必要な施策

(医療従事者の育成及び確保)

第12条 市は、手術療法、放射線療法、化学療法その他のがんに係る医療に携わる専門的な知識及び技能を有する医師その他の医療従事者の育成及び確保を図るため、必要な施策を講ずるものとする。

(情報の収集及び提供等)

第13条 市は、市民ががんに係る医療に関する適切な情報を得られるよう、国、県、医療機関等と連携し、情報の収集に努めるものとする。

2 前項の規定による情報の収集は、世界保健機関その他の国際機関及び諸外国の高度で先進的ながんに係る医療に関する情報を対象とするなど、幅広い観点から行うものとする。

3 市は、市民に対し、がんに係る医療、がん患者及びその家族等の支援等に関する情報を提供するため、県、医療機関等と連携し、必要な広報活動その他の施策を講ずるものとする。

4 市は、がん登録等の推進に関する法律(平成25年法律第111号)によるがん登録(同法第2条第2項に規定するがん登録をいう。)の推進に協力するものとし、全国がん登録情報(同条第7項に規定する全国がん登録情報をいう。以下同じ。)等を利用して得られた知見に基づき、医療機関に対し、がんに係る医療の質の向上に資する情報を提供するとともに、当該知見について、市民が理解しやすく、かつ、がん患者の治療方法の選択に資する形で公表するよう努めるものとする。

5 市は、白血病等の血液がんに対する有効な治療法である骨髄移植及びさい帯血移植を促進するため、医療機関、医療関係団体等と連携し、骨髄バンク事業及び臍帯血バンク事業の普及啓発その他の必要な施策を講ずるものとする。

(がん研究の推進)

第14条 市は、公立大学法人横浜市立大学におけるがん対策に係る研究に対する支援その他の高度で先進的ながん対策に係る研究が推進されるために必要な施策を講ずるものとする。

(情報等の活用)

第15条 市は、第13条第1項及び第2項の規定により収集した情報、全国がん登録情報並びに前条の規定により得られた研究の成果が活用されるために必要な施策を講ずるものとする。

(財政上の措置)

第16条 市は、がん対策に関する施策を計画的に実施するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(表彰)

第17条 市は、第5条の規定による環境の整備その他がん対策の推進に関し特に著しい功績のあったものに対し、表彰を行うものとする。

(市会への報告)

第18条 市長は、毎年、市会にがん対策に関する施策の実施状況を報告しなければならない。

(委任)

第19条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。

この条例は、平成26年10月1日から施行する。ただし、第13条第4項及び第15条(全国がん登録情報に係る部分に限る。)の規定は、がん登録等の推進に関する法律の施行の日から施行する。

(施行の日=平成28年1月1日)

(令和元年10月条例第30号)

この条例中、第1条の規定は公布の日から、第2条の規定は令和2年4月1日から施行する。






-2024.10.01作成-2024.10.01内容現在
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平成26年6月13日 条例第42号

(令和2年4月1日施行)