○横浜市市民協働条例
平成24年6月25日
条例第34号
横浜市市民協働条例をここに公布する。
横浜市市民協働条例
横浜市市民活動推進条例(平成12年3月横浜市条例第26号)の全部を改正する。
目次
前文
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 市民協働
第1節 市民公益活動(第5条―第7条)
第2節 市民協働事業(第8条―第15条)
第3節 中間支援組織(第16条)
第3章 市民協働推進委員会(第17条―第19条)
第4章 雑則(第20条―第22条)
附則
横浜市では、これまで多くの市民の努力のもとに、自主的で自由な市民の活動に幅広く支援が行われてきた。特に不特定多数のものの利益の増進に寄与することを目的とした市民の活動の支援を推進するとともに、市民協働の発展にも力を注いできた。
広範で豊かな市民の活動があって、初めて市民協働も進展していくのである。
いま時代の展開とともに、市民協働の現場からは、より適切なパートナーシップの構築のため、協働で行う事業の進め方等について、新たな規範を定める必要性が指摘されてきた。
市民協働は、行政と市民、市民団体及び地縁による団体等市民協働を実施するものたちの協議によって個々に形づくられていくものである。そのため、市民協働の形態も多岐にわたることになる。
このような市民協働による社会は、自ら目指すところにより活動していくための自由と権利が保障されている社会であるとともに、お互いを尊重し合い、自己のみの利益追求ではなく、相互に助け合うことのできる社会である。
ここに、市民協働を進める上で必要となる横浜市の責務と踏まえておくべき基本的事項を定め、市民の活動や市民協働の環境を整備するとともに、市民の知恵や経験を市政に反映することにより協働型社会の形成を図るものである。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、市民協働に関する基本的事項を定めることにより、市民等が自ら広く公共的又は公益的な活動に参画することを促進し、もって自主的・自律的な市民社会の形成に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において「市民等」とは、市民、法人、地方自治法(昭和22年法律第67号)第260条の2第1項に定める地縁による団体及びこれらに類するものをいう。
2 この条例において「市民協働」とは、公共的又は公益的な活動及び事業を横浜市(以下「市」という。)と市民等とが協力して行うことをいう。
3 この条例において「市民公益活動」とは、市民等が行う公共的又は公益的な活動をいう。
5 この条例において「中間支援組織」とは、市と市民等を相互に媒介し、市民等の自立と課題解決を支援するため、市民等のネットワーク化と交流促進、情報収集と提供、相談とコンサルティング、調査研究、人材育成と研修、活動支援と助成又は政策提言等を行う組織をいう。
(市の責務)
第3条 市は、市民公益活動及び市民協働事業が円滑に行われるために、情報の提供並びに人的、物的、財政的及び制度的にできる限りの支援をしなければならない。
2 市は、営利を目的とせず、自主的に行う、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とする活動が活発に行われる環境づくりに努めるものとする。
(市民等の責務)
第4条 市民等は、市から財政的支援を受けた市民公益活動及び市民協働事業については公正に行わなければならない。
2 市民等は、その特性を生かしながら市民協働事業を行うとともに、活動内容が広く市民の理解を得られるように努めなければならない。
第2章 市民協働
第1節 市民公益活動
(市民公益活動)
第5条 市は、市民等が行う市民公益活動(次の各号に掲げるものを除く。)を特に公益性が高いと判断したときは、活動場所の提供及び財政的支援をすることができる。
(1) 宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを目的とする活動
(2) 政治上の主義を推進し、支持し、又はこれに反対することを目的とする活動
(3) 特定の公職(公職選挙法(昭和25年法律第100号)第3条に規定する公職をいう。以下同じ。)の候補者(当該候補者になろうとする者を含む。)若しくは公職にある者又は政党を推薦し、支持し、又はこれらに反対することを目的とする活動
(4) 営利を主たる目的とする活動
(市民活動推進基金)
第6条 市民公益活動を財政的に支援するために、市に横浜市市民活動推進基金(以下「基金」という。)を設置する。
2 市が基金に積み立てる額は、歳入歳出予算をもって定める。
3 基金に属する現金は、金融機関への預金その他の確実かつ有利な方法により保管しなければならない。
4 基金の運用から生ずる収益は、歳入歳出予算に計上して、基金に積み立てるものとする。
5 基金は、その設置の目的を達成するために必要がある場合に限り、その全部又は一部を処分することができる。
(支援申請等)
第7条 市民等は、市から助成金の交付、施設の優先的使用等特別な支援を受けて市民公益活動を行うときは、あらかじめ規則で定める書類を市長に提出しなければならない。
2 市民等は、前項の活動が終了したときは、速やかに、事業報告書を市長に提出しなければならない。
3 市長は、必要があると認めるときは、前2項の規定により提出された書類について、当該市民等に報告又は説明を求め、その結果に基づいて必要な措置を講ずることができる。
第2節 市民協働事業
(市民協働事業の基本原則)
第8条 市及び市民等は、次に掲げる基本原則に基づいて、市民協働事業を行うものとする。
(1) 市及び市民協働事業を行う市民等は、対等の立場に立ち、相互に理解を深めること。
(2) 市及び市民協働事業を行う市民等は、当該市民協働事業について目的を共有すること。
(3) 市及び市民協働事業を行う市民等は、当該市民協働事業について、その情報(第13条に規定する秘密を除く。)を公開すること。
(4) 市及び市民協働事業を行う市民等は、相互の役割分担を明確にし、それぞれが当該役割に応じた責任を果たすこと。
(5) 市は、市民協働事業を行う市民等の自主性及び自立性を尊重すること。
(市民協働事業を行う市民等の選定)
第9条 市長は、市の発意に基づき市民協働事業を行おうとするときは、その相手方となる市民等を公正な方法により選定しなければならない。
2 市長は、市民協働事業の相手方となる市民等の選定に当たっては、当該市民協働事業に必要な技術、専門性、サービスの質その他の事業を遂行する能力を総合的に考慮しなければならない。
(市民協働事業の提案)
第10条 市民協働事業を行おうとする市民等は、市に対し、市民協働事業を提案することができる。
(自主事業)
第11条 市民協働事業を行う市民等は、当該市民協働事業に支障がない限り、当該市民協働事業以外の事業(以下「自主事業」という。)を当該市民協働事業とともに行うことができる。
2 市民等は、自主事業を行うときは、あらかじめ市に届け出るものとする。自主事業を終了したときも同様とする。
2 前項の協働契約には、事業目的、事業の進め方並びに役割、費用及び責任の分担その他規則で定める事項を定めるものとする。
(秘密の保持)
第13条 市民協働事業を行う市民等は、当該市民協働事業を行うにつき知り得た秘密を漏らしてはならない。当該市民協働事業が終了した後も、また同様とする。
(負担)
第14条 市は、市民協働事業を行う市民等に対して、公益上必要な負担を負うものとする。この場合において、市は、市民等の自主性及び自立性を重んじるとともに、効率的・効果的なものとしなければならない。
(事業評価)
第15条 市及び市民等は、当該市民協働事業の終了後(当該市民協働事業が年度を越えて継続する場合は、年度終了後)に、事業の成果、役割分担等について、相互に評価を行うものとする。
2 前項の規定により評価を行った場合には、当該評価を公表するものとする。
第3節 中間支援組織
(中間支援組織)
第16条 市及び市民等は、市民協働事業を円滑に進めるため、中間支援組織の育成に努めるものとする。
2 市及び市民等は、中間支援組織の助言に対して誠実に対応するものとする。
第3章 市民協働推進委員会
(市民協働推進委員会)
第17条 市民協働の推進に関し必要な事項を調査審議するため、市長の附属機関として、横浜市市民協働推進委員会(以下「市民協働推進委員会」という。)を置く。
2 市民協働推進委員会は、市民協働の推進に関し必要な事項について、市長に意見を述べることができる。
3 市民協働推進委員会に、必要に応じ部会を置くことができる。
(組織)
第18条 市民協働推進委員会は、委員10人以内をもって組織する。
2 委員は、次の各号に掲げる者のうちから市長が任命する。
(1) 学識経験のある者
(2) 市民等
(3) 前2号に掲げる者のほか、市長が適当と認める者
(委員の任期)
第19条 前条第2項の委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2 前条第2項の委員は、再任されることができる。
第4章 雑則
(報告)
第20条 市長は、市における市民協働の取組み状況について、適宜、議会に報告するものとする。
附則
(施行期日)
1 この条例は、規則で定める日から施行する。
(平成25年2月規則第13号により同年4月1日から施行)
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